加齢黄斑変性症とは?
加齢黄斑変性症とは、加齢により網膜の下に老廃物が溜まることで、徐々に黄斑の機能が損なわれ、視力が低下したり、視野の中心部に欠損や歪みが生じたりして、社会的失明を招いてしまう病気です。
黄斑の中心部である“中心窩”に障害が及だり、新生血管が伸びると急に視力が低下することもあります。
眼鏡で矯正することができず、完治する方法もありません。進行を食い止めるのが最上の治療法です。
光は感じられ「見え」はしますが、中心部の視界が損なわれるために活字を読んだり車の運転ができなくなります。
年を取れば誰でもなる可能性があり、男性は女性より3倍多く発症します。60代以降に多く、特に75歳以上で患者が急増。うち7割は男性です。
特に、喫煙者は加齢黄斑変性症を発症しやすいことで有名です。もし、新聞に片目をやって、視界の中心が歪むようだと危ないかもしれません。
黄斑とは?
私たちの眼はカメラの仕組みと似ていて、眼の奥にある網膜はフィルムにあたります。
網膜には光の情報を識別する視細胞が散らばっており、瞳から入ってきた光がここで焦点を結び、その情報が視神経を通じて脳に送られてはじめて映像として「見え」ています。
その網膜の中心にある、最も視力が出る部分が黄斑です。黄斑には黄色いキサントフィルという色素が多く含まれ、とりわけ多くの視細胞が集まっています。
なかでも大切なのが“中心窩”と呼ばれる、黄斑中央部のくぼみです。直径0.2~0.3ミリほどですが、細かいものを見たり色を識別したりする細胞が集中しています。
中心窩は視力検査をおこなうとき1.0~1.2の最大視力を出しているポイントで、私たちの視力と色覚を全面的に担っています。
眼科医が試そうと思っているルテインの秘密とは?
加齢黄斑変性症の有名な対策はルテインを摂るですが、ルテインが加齢黄斑変性の防止に効果があるかどうかは分かっていません。
現段階では注目されているに過ぎない栄養素ということになるでしょう。
実際にも、このルテインは眼科医の院内勉強会で取り上げられたりして
その検証が進められている最中です。
でも、そんなの待ってられないですよね。
早め、早めに手を打ちたい方はここから手に入ります。
※サプリなのでその効果は保証されていません。
加齢黄斑変性症の原因は?
ハッキリした原因は解明されていませんが、活性酸素が大きく関わっていると考えられています。
具体的には次のようなものです。
- 老化
- 光線刺激
- 喫煙
- 食生活の欧米化
- 遺伝
加齢により網膜細胞の新陳代謝が衰えることで、黄斑がダメージを受けて発症します。
紫外線やパソコン、スマホの画面から発せられるブルーライト(青色光)は目への刺激が強く、ダイレクトに網膜に届くため黄斑が障害されて発症します。
喫煙者の発症リスクは非喫煙者の4~5倍という報告もあるほど、喫煙は大きく影響します。活性酸素の増大が一因のようです。
脂質の高い食事により網膜の血流の低下することが考えられます。高血圧、動脈硬化といった血管系の生活習慣病が加齢黄斑変性症にも及ぶようです。
家族が罹患した人の発症リスクはそうでない人の1.4倍という報告があります。近親者に加齢黄斑変性症のいる人はチェックを怠らないようにしましょう。
加齢黄斑変性症の種類は?
萎縮型(ドライタイプ)
加齢により、網膜(網膜色素上皮細胞)に老廃物が溜まり、黄斑が萎縮する病巣が“乾いたタイプ”です。はじめは異常を感じることもほとんどなく、進行はとてもゆっくりしています。
しかし障害が中心窩に及んだり、新生血管(滲出型)が発生すると病状は急速に進みます。
日本人には少ないタイプですが、欧米の患者には多く約9割が「萎縮型」です。
滲出型(ウェットタイプ)
日本人に多いタイプが滲出(しんしゅつ)型です。
正常であれば、網膜の下には毛細血管が集まった脈絡膜という部分があり、網膜色素上皮細胞を通って栄養を網膜に送り届けています。
しかしこの機能が衰えると、新生血管が網膜色素上皮に伸びてきて、黄斑を押し上げます。(黄斑浮腫)、また出血や水分が滲み出たりして、黄斑が障害を受けます。
新生血管はとても破けやすく、放っておくと1~2年で症状が急速に進み、眼鏡をかけても視力は0.1以下となります。
この脆い血管はやがて活動を停止しますが、黄斑へのダメージはそのまま。
50歳以上の人のうち約1.2%が発症します。
加齢黄斑変性症になりやすい人は?
次のような人が加齢黄斑変性症になりやすいといえます。
- 喫煙者
- ブルーライトを長時間浴びる人
- 食生活が高脂肪な人
- 遺伝の影響
喫煙者は非喫煙者より4~5倍発症リスクが高いです。特に胸の奥深くまで吸い込む人、ヘビースモーカー、喫煙歴が長い人は要注意です。喫煙により網膜の毛細血管の流れが悪くなり、黄斑に障害が起きると考えられます。
ブルーライト(青色光)は太陽光はもちろん、PCやスマホの画面からも発せられる、刺激の強い光線です。
網膜にダイレクトに届くため、黄斑にダメージを与えやすいです。近年、黄斑変性症が増えたのは、ブルーライトの影響が大きいといわれています。
肉類の食べすぎは、網膜の抹消血管の流れを悪くするので、黄斑に酸化物質が溜まりやすくなります。
家族や親戚に既往者がいる人は、加齢黄斑変性症になりやすいです。ARMS2という滲出型の遺伝子を持っている人は、持っていない人に比べ発症率が1.4倍高いそうです。
加齢黄斑変性症の症状は?
加齢黄斑変性症の症状は気付きにくいですが、具体的に次の4つが挙げられます。
- 真ん中がゆがむ(変視症)
- 真ん中が暗い、欠けてる(中心暗転)
- 見たいところが見えない(視力低下)
- 色が識別できない(色覚異常)
タテに長いタワーや、格子状になったものを見ると、真ん中がグニャリとゆがんで見えます。(周辺部は正常)
離している相手の鼻や目のあたりがハッキリしません。真ん中が暗くなったり、ぼやけたり、欠けたりして見えづらいです。
障害が中心窩に及ぶと、文字が見えなかったり、車の運転ができなくなったりします。
青と黄、赤と緑の判別がしづらくなります。信号など車の運転にも支障がでます。
黄斑変性症の検査方法
はじめに、問診が行われます。
どんな症状がいつから始まったか、過去の眼の病歴、現在服薬中の薬、喫煙歴などです。
その後に次のような検査が行われます。
- 視力検査
- アムスラー検査
- 眼底検査
- 造影検査
- 網膜断層検査
一般的な視力表を用いて裸眼で測定します。
格子状の図を片目で見ます。真ん中がゆがんでいたり、黒っぽく見えると黄斑変性症のに兆候があります。カンタンな検査なので自己チェックもできます。
顎とおでこを固定して、専門の機器で目に光を当てて網膜の状態をみる検査です。
造影剤を腕の静脈から注入し、眼底カメラで網膜や血管の様子を詳しく撮影する検査です。新生血管や浸出液がどこにどんな状態であるのかハッキリわかります。
造影剤は蛍光色素を含んでいて、フルオレセインとインドシアニンの2種類あり、必要に応じて使い分けられます。
光干渉断層計(OCT)という機器を用いて網膜の断面を調べます。新生血管の状態が立体的に映ります。造影剤は使わず、短時間で終わるため患者の負担は軽いです。
加齢黄斑変性症の治療や手術
加齢黄斑変性症の治療は、症状の進行を防いで、失明しないようにするものです。視力が正常に回復することはほとんどありません。
少しでも目に違和感を感じたら速やかに検査を受けることをおすすめします。
委縮型の治療は?
「萎縮型」に治療法はないのですが、滲出型に移行する場合もあるので、定期的に診察を受けることが必要です。
滲出型の治療は?
新生血管の増殖を抑え、視力の維持・改善を図るもので、新生血管が発生している場所や大きさに応じて、次の4つの治療法から選択されます。
早期に発見できれば視覚にほとんどダメージを与えずに済みますが、滲出型は症状の進行が早く、放っておくと急速な視力低下や失明を招きます。
1)抗VEGF療法
視力の改善に有効な最新の治療法です。新生血管を発生・成長させる血管内皮増殖因子(VEGF)という物質を抑える薬剤を眼の硝子体に注射します。
1か月に1回の注射を3か月間実施し、その後は様子を見ながら必要に応じて行います。
現在認可されている薬剤は、ラニビズマブ(商品名ルセンティス)、アフリベルセプト(商品名アイリーア)、ベガブタニブ(商品名マクジェン)の3種類ありますが、それぞれの薬の特徴を活かして使われます。
眼への注射は大きな抵抗を感じますが、白目の部分から針を刺すので心配はありません。
点眼による十分な消毒や麻酔を行い、瞼を開けた状態に固定して実施。針は極細いものを使用し、注入時間も30秒ほどで済みます。
注射後は感染防止のため、当日はお風呂に入らないなど注意点があります。
- 抗VEGF療法の利点は?
- 抗VEGF療法の欠点は?
- 抗VEGF療法の副作用は?
注射するだけで効果が現れます。治療翌日から効果を実感する人もいるようです。
複数回行う
治療効果が1~2か月で切れてしまうため1回の注射で終わらず、何回も行わなければなりません。
経済的負担が高い
保険適用されますが費用が高額です。3割負担で70歳以上の場合約44,000円、70歳以下では約55,000円します。
まれに眼内炎を起こす
非常にまれですが、細菌が入り、炎症(眼内炎)を起こすことがあります。術前・術後には抗菌薬点眼を行いますが、医師の言い付けを守るようしましょう。
薬の副作用は眼圧上昇や眼痛、結膜出血、視力の低下などです。脳卒中の報告もあるので、既往歴のある人は必ず医師に伝えておきましょう。
また薬によって副作用や効果の度合いが違います。
ベガブタニブ(マクジェン)
最も副作用が少ないのですが効果も低いです。
ラニビズマブ(ルセンティス)
早く体外から排出されるため副作用が23.9%と少ないのが特徴です。採用する医師も多いです。
アフリベルセプト(アイリーア)
体内に留まる時間が長いためルセンティフより少ない回数で同じ効果が得られます。副作用は36.3%とルセンティフより若干高めです。
2)光線力学的療法(PDT)
光に感応する薬剤(ビスダイン)を静脈注射して、新生血管に集まったところで、レーザー光を当てて新生血管を内部から閉塞させる治療法です。
滲出型の中でも3~5割にみられるポリープ状脈絡膜血管症(ポリープのような血管のコブがある)が、中心窩にダメージを及ぼしている場合に採用されることが多いです。
事前に眼底造影検査で新生血管の位置や大きさ、病変部の状態などを詳しく調べ、レーザーの照射範囲を決めます。
治療の手順は次の通りです
- 点眼薬で瞳を開く
- ビスダインを10分かけて腕から静脈注射
- 点眼薬で麻酔
- 特殊なコンタクトレンズを装着
- 特ビスダインが新生血管に集まるのを待つ(注射後15分ほど)
- 微弱なレーザー光を患部に83秒照射
※術後2~3日の入院が必要です。また費用は保険適用され、1割負担で10万、3割負担で18万くらいです。高額療養費制度が適用される場合もあります。
- 光線力学的療法の利点は?
- 光線力学的療法の欠点は?
- 光線力学的療法の副作用は?
新生血管だけを狙い撃ちできるので、正常な視細胞を傷つけなくて済みます。抗VEGF療法と組み合わせれば効果を高められます。
複数回行わなければなりません。術後3か月ごとに造影検査を行い、平均3回治療が行われます。ただし入院は初回のみで、2回目以降は通院可能です。
光に感応する薬剤、ビスダインに光過敏症の副作用があります。まる2日間は光に対して全身が敏感になるので入院が必要です。退院後も5日目まではサングラスや帽子、長袖、手袋などで光からの防御が必要です。
3)レーザー光凝固術
強いレーザー光を照射して、新生血管を凝固する治療法です。新生血管が中心窩に及んでいない場合のみに行われます。
- レーザー光凝固の利点は?
- レーザー光凝固の欠点は?
- レーザー光凝固の副作用は?
光線力学的療法に比べ入院の必要がなく、症状の進行を食い止めることができます。
焼いても術後1年間で別の部分に再発することがあります。また新生血管は中心窩にかかっていることが多いため、あまり採用されません。
絶対暗点という光を全く感知できなくなる部分ができます。しかし、視力が一番でる中心窩は残っているため、新聞を読むなど、日常生活に支障はありません。
4)その他の治療法
リスクが高いため、最近はあまり行われなくなった治療法です。
- 新生血管抜去術
- 中心窩移動手術
新生血管そのものを切り取ってしまう手術です。視力の改善は期待できますが、新生血管の癒着が激しく、取り除くのは至難の業です。
網膜をいったん剥がし、新生血管の無いところに中心窩を移動させる手術です。上手くいけば良く見えるようになりますが、一時的にモノが二重に見えたり、網膜剥離の危険性もあります。
加齢黄斑変性症を予防する方法
黄斑を守る抗酸化物質
- ルテイン
- ビタミンA、C、E
- 亜鉛
- オメガ3脂肪酸
ルテインは、黄斑に含まれる栄養素そのもので黄色いカロテノイドの一種です。強い抗酸化作用があり、光の刺激から目を守ってくれる天然のサングラスのような働きをします。
体の中では作られないため、食べ物で補ってあげる必要があります。ルテインは緑黄色野菜に含まれ、特にケールやパセリ、ほうれん草に多く含まれています。
早め、早めに手を打ちたい方はここから手に入ります。
ビタミンA(βカロチン)、C、Eは目に良い抗酸化ビタミンです。ビタミンAはホウレンソウやカボチャ、ニンジンなど緑黄色野菜に多く含まれ、ビタミンCは野菜やレモンなどかんきつ類に多く含まれています。
またビタミンEはアーモンドをはじめとしたナッツ類や、ひまわり油やサフラワー(ベニバナ油)などの植物油に含まれています。
亜鉛は目を守る酵素を作るミネラルです。牡蠣に多く含まれ、うなぎやしじみ、高野豆腐、レバーや牛肉など、動物性タンパク質や大豆製品に含まれています。
オメガ3脂肪酸は、網膜の血液をサラサラにしてくれます。サバやサンマなど青魚に含まれるDHAやEPAやエゴマなどに含まれるαーリノレン酸があります。黄斑へのダメージの予防に役立ちます。
日常気をつけること
- 禁煙をする
- 青色光を避ける
- 自己チェックする
喫煙が黄斑変性症のリスクを高めるのはとても有名です。しかし、その影響から逃れるには10年~15年以上かかるといわれています。
目を太陽光などに含まれる青色光(ブルーライト)から守りましょう。屋外ではツバ付きの帽子をかぶり、サングラスをかけましょう。
サングラスは、紫外線と青色光をカットするタイプを使ってください。パソコンやスマートフォンを使用するときは、ブルーライトカット用の眼鏡をかけるのがオススメです。
加齢黄斑変性症は遺伝的な要因もあると言われています。近親者に病状を持っている人がいる場合は、早くから注意するようにしましょう。
またアムスラーチャート(格子状の表)などを使いこまめに自己チェックすることもできます。